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高木貞治『数の概念』Ch1.「整数」

第一章 整数

日常、我々が数というのは、物の数$1,2,3,\cdots,$すなわち計量数(cardinal number)であるが、数はまた順序を示すためにも用いられる。すなわち順序数(ordinal number)である。我々が、ひとつ、ふたつと物を数えるとき、それらの物の間に、おのづから順序がつけられるのだから、数の本性は、まず順序、しかして後に計量であるとも考えられる。さて、順序は、順と逆と両方面にわたって考えられる。今日の次にあす、あすの次にあさってがある。逆にいえば、今日の前にきのう、きのうの前におとといである。数でいえば、1の次に2、2の次に3$,\cdots$と限りなくつづくが、逆に1の前に0、0の前に$-1,-1$の前に$-2,\cdots$と、これまた限りなくつづく。これら0および$\pm 1,\pm 2,$を総括して整数という。計量数として前に述べた$1,2,3, \cdots$を学問上では自然数(natural number)という。計量数と順序数とは、概念上同一ではないが、我々は順序、計量といった用途の差別を抽象し去って、自然数を整数の一部分とみなす。

我々は習慣によって、自然数を最も基本的なる数と考えるけれども、数学的に数の議論を構成するには、整数を基本とすることが、かえって簡明であると考えられる。以下、試みにこれを説明する。



本文書は、高木貞治(1949)『数の概念』初版を、@が新字新かなに改めたものです。
底本は初版第10刷(昭和33年2月15日)を使用しています。